第3種第1級

芳賀・宇都宮LRTの工事状況や各種設備などを解説しています。

【工事の記録】鬼怒川左岸立体区間(導入)

はじめに

これから紹介する鬼怒川左岸立体区間は、全区間が高架または掘割で建設され、交差するすべての道路と立体交差します。芳賀宇都宮LRT計画ルート上最も土木工事の量も多く、建設される構造の種類も多岐にわたります。

そのため、まず本記事で当該区間の構造等について詳しく解説していきます。

 

計画概要

平面図・縦断図

西側区間

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西側区間平面図・縦断図*1※縦断図は筆者推定であり実際のものとは異なる

 

 

区間は、起点側の鬼怒川橋りょうから続く橋りょう区間となり、「竹下第1高架橋」「竹下第1架道橋」として(仮称)下竹下停留場にむけ40‰の勾配で下っていきます。

なお竹下第1高架橋~竹下第1架道橋は8径間のPC(プレテン)橋で構成されます。高架橋と架道橋に構造上の差異はありません。単に道路を超える桁だけ名前が変わっています。

竹下第1架道橋で市道を越えると擁壁区間となり、勾配がレベルになったところで(仮称)下竹下停留場となります。

(仮称)下竹下停留場は芳賀宇都宮LRT計画上唯一道路面より高い位置に設置されます。

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(仮称)下竹下停留場の整備イメージ*2

そのため、バリアフリーに対応するために長い緩やかなスロープを設置する計画です(階段も併設予定)。また芳賀方面のホームへのアクセスは軌道下に設置される横断ボックスを抜けてアクセスします。この横断ボックスはとても小さなものですが、「竹下第2架道橋」という名称が与えられています。

また下竹下停留場の南側へは交通広場の設置を計画しており、説明会時には以下のようなイメージ図が示されております。

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(仮称)下竹下停留場交通広場整備イメージ*3

交通広場についてはR1年8月頃に「(仮称)下竹下停留場交通広場等設計業務委託」が公告されており、株式会社富貴沢建設コンサルタンツが23,300,000円で落札しています。なお発注課はLRT整備課となっておりますが、他の区間の側道が道路建設課の発注となっていることから、交通広場をLRT整備課が、アクセス市道道路建設課がそれぞれ所管している可能性が高いです。

 

その後市道5026号線と用水路、認定外市道をボックスカルバート「竹下第3架道橋」で越えたのち、再び橋りょう区間となります。

橋りょう区間「竹下第4架道橋」「竹下第2高架橋」で構成され、このうち竹下第4架道橋は径間長40.5mのPC(ポステン)橋で、LRT計画上最も径間長の長いPC橋となっています。

竹下第4架道橋で市道370号線を越えたのちは、「竹下第2高架橋」となります。竹下第2高架橋は3径間のPC(プレテン)橋で構成され、その後再び擁壁区間となります。

東側区間

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東側区間平面図・縦断図*4※縦断図は筆者推定であり実際のものとは異なる

西側区間から続く擁壁区間では、R408を越えるために30‰以上の勾配で上ります。

R408交差地点は「竹下第5架道橋」としてR408をオーバーパスします。この竹下第5架道橋は径間長57.8mの合成箱桁橋で構成されます。合成箱桁橋の採用はLRT計画上ここが唯一です。

その後続けて5径間のPC(プレテン)橋の竹下第3高架橋となり、谷部分に向け今度は40‰の勾配で下っていきます。

なお竹下第3高架橋の最も東の径間では市道2214号線をオーバーパスしますが、他の区間とは違いここには架道橋の名が与えられていません。単に設計時に名称を付けるのを忘れたのか、はたまた市道が廃止されるのか...。まさか廃止されるなんてことはないかと思うのですが、とても気になるところです。

その後擁壁区間となりますが、途中農道(認定外市道)と用水路をまたぐボックスカルバート「竹下第6架道橋」が設置されます。このボックスは認定外市道との交差ですがきちんと架道橋の名が与えられています。架道橋の名称を付ける基準が謎です。

当地点は竹下地区で最も標高の低い場所ですが、一転して直後に崖があり、崖上には市道379号線(通称清原学園通り)があります。軌道はこの市道379号線を函渠(トンネル)でアンダーパースする計画となっております。一方当区間の終点付近では再び併用軌道となり軌道を道路面と同じ高さまでもっていかなければなりません。そのためトンネルをくぐった先からはLRT事業計画上最も急な勾配である60‰で一気に登っていきます。

横断図

区間は様々な構造が存在しますが、構造ごとに計画横断面図を紹介します。

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橋りょう区間都市計画決定幅9.4mに対し、橋りょう部の幅員が8.4mとなっています。なお図面の左右どちらか(または両方)に側道が建設される区間が存在します。

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擁壁区間のうち補強土壁で構成される区間の横断図です。補強土壁(RRR工法)は比較的盛土高さが高い区間で採用されています。こちらもは都市計画決定幅11.4mに対し、擁壁上の幅員が8.4mと余裕があります。なお(仮称)下竹下停留場付近のみ擁壁上の幅員が計画幅に近い11m程度まで拡幅されます。

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擁壁区間のうち比較的盛土高さが低い区間では、重力式擁壁が採用されています(竹下第2高架橋~第5架道橋間の擁壁区間区間東端の掘割区間の一部に存在)。なお区間東端の重力式擁壁区間都市計画決定幅が8.1mと狭くなっており、上記断面とは若干異なります。

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市道379号線横断函渠の東側ではLRT事業唯一の掘割区間が存在します。この区間の構造はまだ予想の域ではありますが、上記のような重力式擁壁による横断面構成になると思われます。

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区間内の市道379号線横断部ではボックスによるトンネル構造が採用されています。なお内空は新4号横断部と同様と想定した横断面構成です。

 

以上が鬼怒川左岸立体区間の計画概要になります。

次は当区間の用地買収状況について解説する予定です。

*1:都市計画決定図面に加筆

*2:清原地区説明会資料より引用

*3:清原地区説明会資料より引用

*4:都市計画決定図面に加筆