第3種第1級

芳賀・宇都宮LRTの工事状況や各種設備などを解説しています。

【工事の記録】鬼怒川橋梁(2020年11月~2020年12月)

 この記事では2020年11月からの第3渇水期における鬼怒川橋りょうの施工状況についてレポートしていきます。

なお右岸左岸同一ページでレポートします。

工事概要

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2020年11月からの渇水期では、いよいよ完成に向けた工事が始まります。

まず右岸側は残ったP5からの張出施工とP2から西に向けた固定支保工による上部工が行われます。その後高欄の設置など橋上の仕上げ工事を行います。なおこの工事は河川内での工事はありませんので出水期でも施工が可能です。

工事状況

右岸側

右岸側の見どころは何といっても固定支保工による上部工です。

別工事で完成したP1(下平出第2高架橋P10でもある)に向かった型枠を組み、現場打でコンクリートを打設施工します。

なお訪問ペースの都合上、一部他の方のツイートやYoutubeを紹介します。

 11月に入ってすぐ、固定支保の組み立てが始まりました。それにも伴い堤防上の管理用道路(サイクリングロードも兼用)の高さ規制が始まっています。

 

 ドローンで撮影されたLRT工事の動画の紹介です。上から見ると固定支保工の型枠が完成しているのが確認できます。

 

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2020年12月24日撮影

この時にはすでにコンクリートの打設が完了していたようです。

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2020年12月24日撮影

工程表によると次の日に生コン打設のようですが、まだ打設する箇所が残されているのでしょうか。

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2020年12月24日撮影

P5からの張出はというと、よく見えませんが現在4ブロック目の最終段階にあるようです。年末から1月にかけて5ブロック、6ブロック目の張出を行い、あとは吊支保工による桁間の連結のみです。なお左岸側との連結は、もう少し先になりそうです。

左岸側(分割2号)

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2020年12月24日撮影

P6、P7からの張出施工では、前渇水期までに柱頭部の施工を完了していたためか、すでにワーゲンの設置を完了し、だいたい2ブロック目の施工に進んでいるものと思われます。

固定支保工による主桁工とP10下部工問題

さて、ここまでの鬼怒川橋りょうの工事はいずれも順調に進んでいるように見えました。しかし一つ大きな問題があります。


それは「別工事で発注していた、P10の施工が第3渇水期に間に合わない可能性がある」というものです。

右岸側と同様堤防外の橋脚は本工事とは別の工事で施工されます。右岸側は用地買収が比較的スムーズに進みましたので、かなり早い段階で堤防外の橋脚が完成しました。

しかし左岸側はというと、橋脚の建設予定地には民家があり、この民家の立ち退き時期が大きく影響することとなりました。

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2020年3月4日撮影の写真を加工

こちらの写真の通り鬼怒川橋りょうP10(竹下第1高架橋P1)建設予定地は民家と被っています。

民家の立ち退きを待たずに、このP10(P1)とP2、P3下部工、加えてP2からP4までの2径間の上部工を施工する工事が、まず2019年中ごろに発注されました。残念ながら不調になりましたが、おそらくこの時点である程度の立ち退きの目途は立っていたのでしょう(そもそも目途が立っていないと工事を発注できない)。

その後2019年度末頃に今度はP10(P1)、P2、P3の下部工3基のみを施工する工事が再度公告されました。この工事については増渕組が2020年4月9日に落札しています。

ところが工事落札後、なかなか民家の立ち退きが完了せず長らく工事に着手できない状態が続きました。

 

 その後第3渇水期の目前、2020年9月頃にようやく立ち退き解体が始まりました。

実はこの時点で鬼怒川橋りょうの施工が第3渇水期で終わらず開業が1年延びることを危惧していました。

ただでさえ落札から時間がたっており、下請け業者の再スケジュールなどを考えると更地になってもすぐに工事に着手できるとは限らないからです。

またたとえすぐに工事に着手できたとしても、これまでの他の個所の実績から、橋脚完成までに3~4か月はかかると予想し、それから鬼怒川橋りょうの工事に着手できるだけの期間が残されているのか?という懸念もありました。

 

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図にするとこんな感じ

 9月末には解体が完了し更地になりました。

 その後なんと速やかに工事着手となりました。

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2020年10月8日撮影

すぐに場所打ち杭工が始まりました。3箇所すべて行ったようです。

 なんと鬼怒川橋りょう側の工事に間に合わせるため、堤防側の1基のみ先に橋脚躯体を施工しています。3基施工予定なら通常同時に施工していくため工期が長くなりますが、確かにこれなら早く完成します。ただし作業員の確保が大変になったりと手間が生じて工事費用が高くなるはずです。

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 2020年12月24日撮影

なんと12月末の訪問時にはすでに躯体のコンクリート打設を終え養生中でした。LRTの下部工施工事例の中で間違いなく一番早いです。

つまり何が言いたいかというと「増渕組さん凄い!」です。 

 

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 2020年12月24日撮影

そして堤防脇にはこのような掲示が。これはつまり「固定支保工による主桁工を始めるので、道路を迂回させます」ということです。期間を見るとギリギリです...

 

あるツイートによれば、もう橋脚が完成し固定支保組み立てに向けた準備工が始まっているのが確認できます。

 

以上で2020年12月末時点までの鬼怒川橋りょう工事レポートは終了です。

 

次回からはいよいよ竹下地区の連続高架区間をレポートしていきます。