第3種第1級

芳賀・宇都宮LRTの工事状況や各種設備などを解説しています。

芳賀宇都宮LRTのあれこれ(その5・渋滞対策編)

はじめに

今回は芳賀宇都宮LRTと合わせて行われている、各種道路での渋滞対策のあれこれについてまとめていきたいと思います。

渋滞対策一覧

現在把握できている限りの渋滞対策事業箇所は以下の通りです。

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各事業紹介

上で上げた事業から特徴的なものをいくつか紹介していきます。


f:id:road_hashas:20210716184731p:plain 宇都宮向田線元今泉工区

令和元年度に県道宇都宮向田線の東橋から元今泉町交差点の約1.1kmにおいて、車線運用の大幅な変更がされました。

この変更により原則東進2車線、西進1車線となっています。

また令和2年度から元今泉町交差点側200m区間で、歩道のバリアフリー化(セミフラット化)、車道嵩上げ、自転車専用レーン(W=1.0m×2)設置工事が行われています。この際自転車専用レーンスペース確保のため、車道の1車線当たりの幅は3.0m→2.75mに縮小されます。

なお今泉町交差点以西は、すでに歩道がバリアフリー化されており、かつ車線運用変更時に車線幅が2.75mに縮小されていることから、順次自転車専用レーンが供用開始されるものと思われます。

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・車線運用変更前

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・車線運用変更後

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f:id:road_hashas:20210716184831p:plainf:id:road_hashas:20210716184836p:plain 宇都宮向田線 平出板戸工区

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鬼怒川渡河部の橋りょうが需要に対して大幅に足りないため、「新鬼怒川渡河道路」として計画された道路です。その後「宇都宮テクノ街道」という名称がつけられましたが普及していません。第1期として「板戸大橋」を含む辰街道交差点~芳賀工業団地北入口交差点までの4.7kmが平成20年に供用されています(市道363号線以西は暫定2車線)。
その後2期区間のうち辰街道から市道312号線までの0.9mが平成25年に開通していますが、肝心の新4号接続部(寺内)までの間は、用地買収が難航するなどで長らく未着手となっていました。

その後LRTの事業化により、う回路としての需要が増加することから、まず未開通区間の工事着手と開通時期の前倒しが行われました。

またあわせて増加する交通需要に対応するため、「板戸大橋」を除く暫定2車線区間について、付加車線という形で4車線化されることになりました。

※板戸大橋については4車線化の費用が膨大なため検討中

なお平出板戸工区は実質宇都宮向田線の2本目のバイパスとなります。


f:id:road_hashas:20210716185018p:plain 宇都宮向田線 大塚工区

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大塚工区は平出板戸工区とあわせ「宇都宮テクノ街道」を構成するバイパス道路です。

当該区間の現道は信号こそないものの、往復2車線でカーブが多くかつ勾配変化が激しいため、交通容量に課題がありました。

このバイパスは、盛土構造を基本としてアップダウンをなるべく少なくしており、大幅に走行性が向上します。

平成18年度事業化ですが、県単事業で事業費が付きにくく事業ペースが遅めでした。しかしLRTの事業化を受けう回路整備が必要になることから、交付金の充当などにより事業ペースを早め、2年前倒しの平成30年度開通となりました。

 

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平成21年度に事業化された宇都宮高根沢バイパスは、既存市道を活用する区間については、平成28年度に暫定2車線供用されていました。そこから南下し清原中央通りに接続する区間については、当初の工期を1年程度前倒しし、平成31年度に暫定2車線供用されています。

続けてLRT事業化による交通量増大を考慮し、全線で4車線供用を目指すとともに、野高谷・板戸で本線の立体交差化に着手することとなりました。

現在は平面部の4車線化とともに、(仮称)野高谷立体の切り回し道路、立体部工事を進めています。LRT開通には間に合いませんが、令和5年度には板戸立体を除き4車線供用となる予定です。なお(仮称)野高谷立体の施工はLRT本体の工事と干渉するため、互いに調整し進められています。

 

f:id:road_hashas:20210726181208p:plain真岡宇都宮バイパス(仮称)清原工業団地立体

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国道408号線真岡宇都宮バイパス(鬼怒テクノ通り)開通後、慢性的な渋滞となっている国道123号線との交差点(清原工業団地)ですが、今後のさらなる交通需要を考慮し立体化することとなりました。

令和3年度より切り回し道路の施工に着手し、令和6年度には立体化供用の見込みです。

 

f:id:road_hashas:20210726183724p:plainf:id:road_hashas:20210726183736p:plain一般国道121号線瑞穂野バイパス4車線化、市道みずほの通り

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 新4号瑞穂野南~R408号氷室町に至る都市計画道路です。
R408上籠谷交差点を境に整備主体が違いますが、計画上都市計画道路(3.3.108号)みずほの通りであるため、まとめて紹介します。

国道121号(県整備)区間

桑島大橋前後のみ1979年に整備(当時は県道)され、国道指定を受けたのちに2000年に瑞穂野バイパスが暫定2車線(一部完成4車線)で完成しています。

令和3年からはみずほの通り開通による交通量増加に対応するため、西側から4車線化事業が始まりました。なお完成予定時期は未定です。

みずほの通り(市整備区間

上籠谷町交差点から東はなぜか宇都宮市道として指定されており、2002年から事業化されていす。一部用地で交渉が難航するなどし一時は事業認定まで行きましたが、なんとか任意交渉で用地を取得し、2021年に暫定開通しています。表向きにはLRT事業に合わせ前倒ししたなどの表記が一部見られますが、元々はとっくに開通していたはずの道路です。

用地交渉が順調であれば当初暫定2車線で開通の後4車線化という流れのはずでしたが、交渉が難航したため開通を待たずに4車線化工事に着手しています。そのため開通時点で区間東側の一部が4車線で供用されています。

f:id:road_hashas:20210729110822p:plain産業通り(陽東Ⅱ)

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暫定形で供用されている産業通りのうち、県道64号宇都宮向田線と交差する陽東3丁目交差点について、LRT開通後渋滞時のう回路としての需要が増すことから、不足している右折レーンの延伸を目的に、計画線東側のみ都市計画決定線まで拡幅(下図参考)します。

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f:id:road_hashas:20210729110802p:plain産業通り(陽東Ⅰ)

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宇大東南部土地区画整理側の進捗、越戸川BP、LRT事業との兼ね合いから、既存の開通区間の拡幅の必要が生じたため、平成30年度にR123~r64のうちR123側540mの4車線化(現道拡幅)が事業化されました。

前回紹介した治水対策で出てきた越戸川バイパス整備のため、道路整備と河川整備を同時に行います。

現在は越戸川バイパスの築造が必要になる現道西側を中心に用地買収が進められており、一部越戸川バイパスの築造工事に着手しています。

事業化から数年しかたっておりませんが、令和3年7月時点でかなり用地買収が進んでおり事業に対する本気度が伺えます。

また交差する国道123号線側も一部交差点改良(右左折専用レーン設置)のため、同事業にて拡幅改良されます。なおこちら側は用地は区画整理事業での取得となります。

f:id:road_hashas:20210729103538p:plainf:id:road_hashas:20210729103547p:plain産業通り(宇大東南部土地区画整理事業地内)

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国道123号線以南の産業通りは基本的に土地区画整理によって整備される区間です。

自治会の同意の関係で第1と第2に分かれており、宇大東南部第1が平成11年から、第2が平成19年から施行されています。

宇大東南部第1の区間は建物の移転に期間を要し、平成29年3月に供用(構造物は完成4車線分完成、北側区間が未開通のため暫定2車線供用)されています。

宇大東南部第2の区間は、LRT事業化を見据え供用を急ぐこととなり、一部用地を直接買収するなどにより用地取得の進捗を図り、久部街道までが令和元年12月に、国道123号線までが令和2年6月にそれぞれ暫定2車線で供用しています。

第1と第2で施行年度に8年の差があるにも関わらず、開通は3年程度の差しかないことからも、相当開通を急いだことがうかがえますね。

なお全区間が令和3年度に4車線化される予定です(国道123号交差部は暫定形)。

 

f:id:road_hashas:20210729115746p:plainf:id:road_hashas:20210729115751p:plain 宇大南通り~宇大東南部通り~久部街道(拡幅)

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・横断図

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新4号~市街地方面のアクセス増強として、宇大南通り~宇大東南通り~久部街道の一連の道路を整備します。この道路の整備により、国道123号線の混雑緩和が見込まれます。

宇大南通りと宇大東南通りは土地区画整理事業で新設、久部街道は道路事業で拡幅整備します。

久部街道は現道約6mを両側歩道、自転車専用レーン付きの17.0mへと大幅に拡幅します。また宇大東南通りと久部街道は一部区間に越戸川バイパスを埋設します。

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栃木県警察本部ではLRT事業に合わせ、駅東エリアで主にLRTと並行する路線の交通信号機について制御を高度化するため、集中制御化を行います。またすでに集中制御となっている信号機についても更新を行い、制御の高度化に備えます。

令和元年度には陽東・ベルモール周辺と宇都宮向田線(テクノ街道)、令和2年度には宇都宮向田線(下平出)と下岡本上三川線(平出)、令和3年度には清原中央通り等が集中制御化されています。

この集中制御化では、すでにLED灯器の交差点では制御器の更新、電球式灯器の交差点では合わせてLED灯器に更新しています。

また令和3年度からはすでに集中制御化されている箇所の更新を行います。この更新では電球式灯器はすべてLED灯器に更新されます。

これにより駅東地区の主要道路上のほぼすべての交通信号機が集中制御となり、交通量などに応じて管制センターで信号制御を行うこととなり、交通円滑化につながります。

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集中制御対応の制御器に交換中の様子(ベルモール南)

 

f:id:road_hashas:20210729135036p:plain交通信号機の集中制御化・更新(LRT

栃木県警察本部ではLRTルート上の交通信号機すべてで、軌道用信号機の設置と灯器の更新、集中制御化を行います。鬼怒通りなどすでに集中制御化されている箇所は制御器と灯器の更新を行います。

また下岡本上三川線(辰街道)との交差点など、LRT事業で新たに交通信号機の設置が必要になる箇所については、灯器の新設も行います。

なお本事業に先駆けて、警察本部に設置されている交通管制センターについてはLRTに対応したものに更新しております(令和元年~2年)。

公式ではまったく触れられていませんが、これらの交通管制システムの高度化により、LRTを優先する信号制御を行う可能性があります。

 

おわりに

以上がLRTの渋滞対策のあれこれです。

次は用地問題あたりを題材にあれこれまとめていこうかなと。