【工事の記録】新4号横断部(導入)
本記事では新4号国道との交差部(新4号横断部)の計画概要、工事状況等について解説します。
本箇所は長くなるため、2分割で公開します。
計画概要
横断部の検討経緯
鬼怒通りとの交差部
芳賀宇都宮LRT計画では、「いかにして新4号国道と交差させるか」というのが計画策定上一つの大きなポイントだったと思われます。
新4号国道は国を代表する幹線道路で設計速度は80km/h、地域高規格道路にも指定されており主要道路とは立体交差が基本となっている、かなり規格の高い道路です。
そのためLRTの軌道と新4号国道本線とを平面交差させるわけにはいかず、どこかでLRTの軌道と新4号国道本線を立体交差させるという条件のもと、ルート選定が行われています。
当初のLRT(芳賀町参入以前)の計画ルートでは、新4号交差部は鬼怒通り上に併用軌道として建設し、新4号国道とは平出交差点で、「本線とは立体交差」「側道とは平面交差」という計画でした。
ところが平成27年に行われた第7回「芳賀・宇都宮基幹公共交通検討委員会」において、軌道ルートは南側の盛土部をトンネルにて交差する計画へと変更されています。
交差部の検討状況は以下の通りです。
この資料では、平出交差点部を通過させた場合、交通処理が困難であるため、C案の盛土部通過案を採用したとの記述があります。
実際の鬼怒通りと新4号交差部を見てみると、新4号本線は青森方に向かってゆるやかな下り勾配となっており、現地の信号機の状況からも鬼怒通り道路面と高架橋との間の高さは5.0m程度しかないと推察できます。
ここに仮に軌道を敷設すると、建築限界の条件から架線は4.5mより上に設置しなければなりません。となると架線を設置するためのスペースが不足し、軌道を敷設するためには鬼怒通りを掘り下げるなどの大規模な工事が必要になり、あくまで筆者の推察にすぎませんが鬼怒通り上に軌道を敷設することがかなり難しかったのではないかと推察できます。
のちにこのルート変更が下平出地区の大きな反対運動(別記事で解説します)へと発展するのですが、これまで述べた理由と車両基地への入出庫を考慮すると、C案を採用したのは非常に合理的であったのではないかと思います。
C案の盛土部交差案について
上は交差する新4号国道の縦断図です。
この立体交差部は不思議なことに、新4号本線の道路高が一番高い地点が、鬼怒通りとの交差部ではなく、鬼怒通りと市道329号線の中間部(よりやや南)になっています。
これは新4号国道建設時、市道329号線が下平出地区の集落と宇都宮市街を結ぶ主要な街道であり、新4号で市道329号線を分断できず立体交差にしたという背景がありそうです。
仮に鬼怒通りの立体交差部分を計画道路高の頂点にした場合、市道329号線との交点では新4号本線の道路高は2~3mほどで立体交差は不可能です。
そのため、市道329号線とも立体交差させた場合一番経済的な縦断線形がこのような結果であったのではないかと思います。
ちなみにこの交差部の市道329号線ボックスカルバートは新4号と直交していません。
今でこそ新4号西側は圃場整備(平成16年完成)によりその面影を残していませんが、昔は市道329号線は以下のような線形でした。
Yahoo!地図に筆者加筆
そのためこのような直交していないボックスカルバートが設置されたというわけです。
とはいえこのような経緯から、市道329号線との交差部からやや北が新4号の道路高頂点となったことで、このC案の新4号下へのトンネル建設を可能としています。
横断部の計画概要
前置きが長くなりましたが、新4号国道との横断部(トンネル構造)の計画について解説します。
これはLRTと新4号の交差部の、新4号側の横断図(筆者推定)です。
軌道自体は道路との平面交差がない(交差部の管理用道路は廃止)ため、架線高を最低の3.875mまで下げることができます。
そのため横断トンネルの内空高は4m程度の確保で十分ではないかと思われます。
関連する情報を収集する中で、内空は幅7.9m×高さ5.8m×延長41.8mであることが判明しました(2020年10月30日追記)。
それでもランプ部が本線より若干低い位置にあるため、ランプ部との交差は土被りを確保したまま施工することができません。
そのため建設に当たっては、下りオフランプ及び上りオンランプをいったん仮設ランプ橋に移し替え、交差部のトンネルを開削工法で施工します。
ランプ部の道路高では高さ5.8mのボックスを施工できないため、仮設ランプに切り替えたうえで施工、トンネル完成後は現在の道路高より若干高い位置にランプが復旧されると思われます。(2020年10月30日追記)
こちらが完成形の推定横断図です。
横断トンネル完成時には、新4号両脇の管理用道路は廃止され、代わりに下りオフランプに歩道が併設されます。
続く...
*1:第7回「芳賀・宇都宮基幹公共交通検討委員会」から引用