第3種第1級

芳賀・宇都宮LRTの工事状況や各種設備などを解説しています。

【工事の記録】陽東3丁目~平出架道橋(2018年4月~2020年10月)

 続いて④陽東3丁目交差点から併用軌道となり鬼怒通りから分岐する平出立体の手前までの計画概要、用地取得状況、工事状況についてレポートしていきます。

 

なお特に注釈のない限りは2020年10月8日に撮影した写真になります。

計画平面図

区間全体

まずはこの区間全体の計画平面図についてです。

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この区間は④陽東3丁目交差点以西とは異なり、23.5mの幅員で往復4車線として供用されています。

軌道敷設スペースの捻出に当たっては④陽東3丁目交差点以西同様、交通解析を実施したうえで東進2車線、西進1車線とします。

LRT導入後は標準幅員が最低でも25.0m必要なため、この区間では全区間にわたり南北どちからで用地買収を行います。

またこの区間内の④陽東3丁目交差点~⑤信号交差点間のみ、西進方向も2車線確保するのが大きな特徴です。これはこの区間のみベルモールからの流入交通量が多く1車線では捌ききれないと判断したためと思われます。また、④陽東3丁目交差点において産業通りに交通量が分散するためこの区間のみ西進方向を2車線確保し、以西は再び1車線に戻すという判断に至ったと推測できます。

車線運用

この区間は車線運用が大きく変化するため、LRT工事前後の車線運用についてまとめました。

なおLRT開通後の車線運用については公表されている資料をもとにした予測であり、実際の計画とは異なる可能性があります。

LRT工事前(現況)

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LRT開通後

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用地買収

用地買収については先ほど述べたように全区間で必要となっています。

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④陽東3丁目交差点~⑤信号交差点

この区間では西進方向も2車線を確保するほか、(仮称)ベルモール前停留所もホーム幅を他の停留所より広く確保する関係で、取得が必要な用地幅が他の区間と比較し広くなっているのが大きな特徴です。

また用地買収を行う範囲に東京電力の送電線鉄塔(猪苗代新幹線No.496)が含まれており、この鉄塔の移設が必要なことから移設に必要な用地も同時に確保します。

さらに④陽東3丁目交差点を挟んだ産業通りの南北では右折レーンの延伸を目的とした道路改良工事を同時に行っており、これらの用地買収と密接に関連することからこの点については別記事でも詳しく解説予定です。

⑤信号交差点~⑥信号交差点

この区間では用地買収を行う範囲が平出立体に向かって南から北へシフトしていきます。わざわざ北へシフトさせた理由は不明ですが、計画段階で北にシフトさせた方が交渉する権利者数が少ないとかそんな理由があるのかもしれません。

また⑤信号交差点直近では交差する南側市道について、東側(ベルモールイーストサイド駐車場)の一部用地を買収し、車線増を行います。

加えてこの区間のうち、北側の用地買収区間では、沿道整備街路事業という区画整理の手法の一種を活用し用地買収を行っているのが大きな特徴です。

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沿道整備街路事業を採用した理由はわかりませんが、衛星写真からわかるように、鬼怒通り北側は比較的小さな住宅が乱立しており土地の形状が複雑であることと、向田線が東に向かって下り勾配の関係で、鬼怒通りと北側住宅地に高低差が生じていることから、純粋な直接買収では買収後の土地の形状が悪く、地権者の理解が得られなかったとかそんな理由がありそうな気がします。

ともあれ沿道整備街路事業というのは、計画線内の土地だけではなく、計画線には全く引っかからないその奥の土地も併せて買収し、土地の区画を整理する手法ですので、結果的に交渉相手は多くなってしまっています。

用地買収状況

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2020年12月末時点用地買収状況(筆者推定)

④陽東3丁目交差点~⑤信号交差点

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2020年10月8日撮影

この時点では陽東3丁目交差点側では角地のタイヤ屋さんを除き用地買収が完了していました。

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2020年12月24日撮影

見えにくいですが奥のタイヤ屋さんの用地買収も完了しています。

 

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移設前の猪苗代新幹線No.496の様子(2019年1月8日撮影)

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2020年10月8日撮影

移設後の猪苗代新幹線No.496の様子。鬼怒通りを挟んで北側へ移設されました。

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2020年10月8日撮影

ベルモール関係の諸設備はすでに移設され、あとは整地を待つだけのようにも見えます。

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2020年10月8日撮影

TBSハウジングでは駐車場の大部分が用地買収になってしまうこともあり、設備の移設は進められているものの駐車場に整地等の動きは見られません。またこの区間で移転の動きが見えないのは写真奥に見えるアパートくらいです。

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2020年10月8日撮影

⑤信号交差点角のTBSハウジングのモデルハウスはすでに解体され、別の場所に新築されています。なおこのモデルハウスの移転に当たってはTBSハウジング内にその移転先用地を確保するための動きがあったのですが、それはまた別の機会でご紹介します。

⑤信号交差点~⑥信号交差点

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2020年10月8日撮影

⑤信号交差点の角では、ベルモールイーストサイドの駐車場の一部が削られ、駐車場レイアウトも一部変更され、移転が完了しています。

 

また写真奥のアルソック(北関東綜合警備保障 宇都宮東支社)は別の場所に仮移転し、現在建物の減築工事が行われています。

 

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2020年12月24日撮影

アルソック(北関東綜合警備保障 宇都宮東支社)の減築工事もかなり進みました。

 

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2020年10月8日撮影

⑤信号交差点で交差する南側市道では渋滞対策として、左折レーンを2車線に増やします。それにあたり、イーストサイド側の駐車場用地が取得されています。

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 用地買収の様子(2020年3月24日撮影)

現在は写真奥の建物も解体されています。

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2020年10月8日撮影

 民家や自動車屋はすでに移転に応じています。写真には自動車が駐車されていますが、一時的に利用しているだけのようです。

なお奥の酒屋さんは今のところ移転の動きは見られません(交渉に応じているかどうかも不明)。2020年12月末現在も移転せずに営業中です。

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2020年10月8日撮影

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2020年12月24日撮影

前回訪問時解体作業中だった民家の場所もすっかり更地になり、区画整理事業の整地工事が進んでいます。

土地の形状を整理し、解体されない民家に対してもしっかりと整地工事が行われています。

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2020年10月8日撮影

この周辺では沿道整備街路事業を活用した用地買収が行われており、訪問時は民家1軒がちょうど解体されているところでした。

写真箇所では区画整理事業として土地の整地工事を行っています。

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H31(R1)年度には沿道整備街路事業に伴う物件等調査業務が3分割で発注されれています。

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2020年10月8日撮影

この辺りにはLRTに反対するポスターやLRT反対派の市議会議員を応援する看板が多数建てられていましたが、ここ最近で撤去されたようです。考えが変わって移転交渉に応じているのかもしれません。

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2020年12月24日撮影

区画整理事業による整地工事が進んでおり、交差点角にあった民家も解体されました。

なお整地工事の工期がR2年11月13日からR3年1月29日まで延長されています。

ちなみに区画整理事業の整地工事はもう一件落札されており、どこをどう施工するのか気になるところです。

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現地の工事状況からみた筆者推定の土地区画整理事業範囲です。交差する南北道路も鬼怒通り交差点が谷地になっている都合上、鬼怒通りの拡幅に伴い縦断勾配を弄る必要があるため、おそらくLRT事業の用地買収の範囲から結構北に食い込んでいるものと推定されます。

工事の状況

中央分離帯撤去工事

2019年5月頃から8月頃にかけて、この区間中央分離帯の撤去工事が実施されました。

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工事案内板(2019年4月28日撮影)

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電気設備移設工事

新4号平出交差点近くにある東京電力PG平出変電所から特需家のベルモールに向けて、特別高圧線が道路下に埋設されています(201?年頃にベルモールからさらに北のNTT付近まで延伸)。

この特高線の一部が軌道敷設範囲と被ってしまうため、支障する範囲の特高線が北側へ移設されています。

中央分離帯撤去工事が完了後、区間中間点付近で道路を掘削してこの地点から東側の特高線が順次移設されました(用地買収が完了した箇所から随時)。

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2019年10月14日撮影。

工事箇所付近の中央分離帯ガードレールが一度撤去され掘削作業が始まりました。

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2019年11月1日撮影。

道路下が掘削され、車道上に仮蓋がされています。

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2020年1月26日撮影。

電気設備の移設工事がおおむね完了し、舗装が復旧されました。

道路改良工事

歩道を改良する工事は2020年10月現在始まっていません。

軌道関係工事

軌道設備に関係する工事は2020年10月現在始まっていません。

 

続く...

*1:宇都宮市入札情報サービスより引用